大衆演劇の観劇マナー|ご祝儀(お花)文化とは?

観劇に備える

「大衆演劇は役者へのご祝儀をしないと、マナー違反なのでは?」この疑問は、ときどき耳にします。この記事では、全般的な観劇マナー、そしてご祝儀の考え方と慣習について説明します。

大衆演劇の観劇マナーは?

ルールの少ない自由で寛容な世界。ご祝儀をしなくてもマナー違反にはなりません。
周りのお客様への心遣いさえあれば、楽しみ方は自由です。

1. 楽しみ方はそれぞれ

前提として、大衆演劇は観劇ルールの厳しい文化ではありません。同じ空間で観劇している人への配慮があれば、楽しみ方は自由です。たとえば、舞踊ショーは歓声込みで盛り上がりたい方、静かに観劇したい方、ショーの写真をたくさん撮りたい方、肉眼でじっくり観たい方。お客様それぞれに、肌に合った観劇スタイルがあります。自分の楽しみ方と、他の楽しみ方を、どちらも尊重することが、居心地の良い場づくりに繋がります。周りへの心遣いを基本に、一緒に楽しみましょう。

2. NG:これだけは気をつけたい5つ

  • スマホを鳴らすのはNG

    お芝居の最中に鳴ると台無しに。開演前に、スマホの状態を必ず確認しましょう。

  • 後ろの人の視界の妨げになる髪型や行動はNG

    頭頂部よりも高く盛った髪型や、ヘアアクセサリーは避けましょう。また、前のめりの姿勢にならないようお気をつけください。

  • 芝居中の私語はNG

    お連れ合い同士のお喋りは、休憩時間のお楽しみに。

  • ビニール音NG

    ビニール音はかなり響くので、何か取り出したいものがあれば休憩時間に。

  • 周りの方が困るような音量はNG

    芝居の決め所での「座長!」などの掛け声や、舞踊ショーの歓声は、舞台と客席が一体になる大衆演劇ならではのもの。その上で、声の大きさは意識して、周りの方への配慮が必要です。

3. OK:大衆演劇では大丈夫です

  • 客席の飲食OK

    大衆演劇の観劇は、食べる楽しみと結びついています。売店ではおにぎりやお菓子を販売しており、幕間に客席で食べます。舞台進行中の飲食も、絶対禁止ではありませんが、芝居中は音を立てないよう気を配る必要があります。 ※一部劇場では、ロビーでの飲食を推奨しているところもあります。劇場内の掲示をご確認ください。

  • 掛け声OK

    芝居やショーの決め所で、「座長!」「ご両人!」など、客席から舞台に声を掛ける文化があります。(通称「ハンチョウ」) ピリッと引き締まった掛け声は、場面に味わいを加えてくれます。誰が掛けてもOKなので、大衆演劇に慣れてきたら、ぜひ掛けてみてください。開演前に、隣の人に「ハンチョウを掛けるので、声が大きくなりすぎないよう気を付けますね」など一言伝えておくと親切です。

  • 子ども連れOK

    お子さん連れも歓迎です。大衆演劇のお芝居は分かりやすいので、慣れてくると小学生でも十分理解できます。家族でお楽しみください。

  • 途中退場OK

    体調不良や交通の都合など、会場を出なければいけないときは、途中退場も大丈夫です。できるだけ、芝居中であれば幕間、ショーであれば曲と曲の間に席を立つ心遣いをお願いします。

4. 劇団・劇場による部分

舞台撮影

劇団によって、撮影ルールが異なります。

  • 多数派:芝居は撮影NG、舞踊ショーは写真撮影OK、動画撮影NG
  • ラストショーだけなら派:芝居も舞踊ショーも撮影NG、ただしラストショーは写真撮影OK (逆にラストショーのみ撮影NGの劇団もあります)
  • 肉眼で楽しんでほしい派:撮影はすべてお控えください
    開演中のアナウンスで、その劇団の撮影ルールが告知されることが多いです。また、撮影OKの劇団でもフラッシュはオフにしましょう。

舞台写真のSNS掲載

劇団によって、掲載ルールが異なります。開演中のアナウンスを聞き逃した場合は、送り出しで劇団座長に「撮った写真をSNSに載せても良いですか?」と聞くと、気軽に教えてくれます。

靴下を履き、靴は脱ぎやすいものを

畳席の劇場、または椅子席メインでも桟敷席やたまり席のある劇場では、靴を脱いで着席することがあります。靴下着用の上、靴はスムーズに脱げるものを選びましょう。

5. ご祝儀についての考え方と慣習

お客様が、役者に贈るご祝儀を「お花」と呼びます。(「おひねり」という言葉は、いまはあまり使いません) お花は、優れた芸に対して賞賛の気持ちで贈るものです。こういうときはお花を付けないとマナー違反という、ルールはありません。

お花は、役者個人の貴重な収入であると同時に、大衆演劇というエンタメを支える仕組みでもあります。大衆演劇の舞台は、役柄に合わせた沢山の鬘や着物が必要です。舞台のクオリティを支えたいと思ってくれるお客様がいることで、全体の入場料は2000円代に抑えられています。庶民のエンタメであり続けることと、お花の仕組みは、大衆演劇の両輪として共存しています。

お花の慣習としては、

  • 芝居ではなく舞踊ショーで付けます。

  • 役者個人に贈りたいときは、その人の個人舞踊で付けます。

  • 舞台中ではなく、送り出しで渡すことも可能です。

  • 投げ銭は、現代の大衆演劇ではしません。

劇場と舞台は、お客様一人一人のハレの場であり、同時にみんなの空間です。自分と他のお客様の楽しみ方、両方を尊重して、気持ちの良い観劇時間をお過ごしください。

マナーはわかった ! あとは行くだけ。

この記事を書いた人

川野 お萩

著者

川野 お萩

ライター。大衆演劇の役者・裏方・劇場主など、様々な立場の人を取材。大衆演劇専門誌「かんげき」記者。日本文化大衆演劇協会 脚本研究者。また、新作芝居の脚本を執筆。

篠原 正浩

監修者

篠原 正浩

有限会社篠原演劇企画 代表取締役社長。
1999年に入社し、2021年に3代目として代表取締役に就任するまで浅草木馬館及び篠原演芸場の支配人として劇場運営に従事。
現在は2022年に設立した一般社団法人日本文化大衆演劇協会の代表理事として、大衆演劇による文化継承、地域振興及び海外発信にも取り組む。

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